創立50周年記念サイト 担子菌培養のパイオニア

◼︎野田食菌工業の発展に尽くされた方々  【医療従事者】

 
 

 

LEM、MAKを
がん免疫療法に活用

 

八木田旭邦先生
オリエント三鷹クリニック院長

 


 がん患者の「生活の質(QOL:Quality Of Life)」を下げたくない


私は主に大学病院で外科医として220年以上、がんを中心に手術を行ってきました。転移の可能性のあるリンパ節も含め、広く切除することで、がんは全て取り切れたとの自信を持っておりました。しかし残念ながら2~3年経過すると再発して、戻ってくる人が少なからずいらっしゃいました。こうなると、抗がん剤や放射線中心の治療となりますが、思わしくない結果もありました。外科手術でがんを切除し、再発しなければ良いのですが、再発したら抗がん剤も放射線も、いつか効かなくなることを思い知らされました。「医師は病気を治すのではない、人を治すのだ」という言葉があるのですが、では人を治すために本当に必要なものは何なのか─それを考え出したときに「免疫」の存在を知りました。当時、免疫はまだ「T細胞・B細胞というものがあるらしい」くらいしか世間でも知られておらず、海外の文献などを調べた結果、それらががんに関係あるのではないかと感じて、免疫の勉強を本格的にしたいと思いました。ちょうどその頃、慶應義塾大学が、がんの研究をテーマにして国から補助金を受けて研究を行うことになり、「免疫」の分野で私が担当に抜擢されました。最初に試したことは、がんの手術をした患者の血液を採血し、T細胞とB細胞の分離試験をすることでした。血液の中の免疫は、時間の経過とともに変化するため、作業は困難を極めました。研究中、免疫を賦活させることでがんを叩くことを狙ったシイタケ由来のレンチナンなどの副作用の少ない医薬品が処方されるようになり、それを飲んでいる患者様の調子が良いことに気づき、「何が効いているのか」を調べるようになりました。「免疫」に何かしら作用しているということはわかっていたのですが、その内容までは掴むことがなかなかできませんでした。またこれらレンチナンなどの免疫賦活剤は様々な種類の薬剤を組み合わせると、より効果を発揮しやすいことがわかっていたのですが、平成元年の薬事審による見直しで、1つの癌腫に対して1種しか使えなくなったので、研究は断念をせざるを得ませんでした。

LEMやMAKを含んだ「ILX-K」の効果がわかってきた


その後、レンチナンと同様にキノコについての研究を依頼され、キノコの菌糸体の働きを臨床的に調べることになりました。結果的には、上記の様々な薬剤を組み合わせる「多剤免疫療法」と同じ結果を出すことがわかりました。免疫学の基本に、マクロファージや樹状細胞は、体内に現れたがん細胞を発見すると、生理活性物質である「IL-12」を放出し、がんを攻撃する細胞を活性化させてがんを叩く、という作用機序があります。私が研究していたキノコの菌糸体には「IL-12」を誘導する力があるのではないかと思い、「IL-12」を患者の血液から測定できないかを検討し始めました。しかしながら、「IL-12」を人の血液で測るという取り組みは日本では誰もやっておらず、これも困難を極めました。前述の「T細胞B細胞の分離試験」を応用したところ、無事、測定を行うことができました。その測定結果から、キノコの菌糸体を投与して有効な患者様には、「IL-12」が大量に産生され、効果がない患者様は産生されていないことがわかりました。1年間臨床データを集めて、米国で特許申請をして認可され、「アメリカ合衆国特許(10)特許番号US6,238,660B1(45)特許承認日2001年5月29日」で登録されました。「内因性IL-12」を産生できるようになると、キラーT細胞、NK細胞、そしてNKT細胞の増殖や活性を誘導し、抗腫瘍作用を亢進します。「ILX-K」は、様々なキノコ菌糸体の製品がある中で、動物実験において、最も良いと判断できたため、がん治療の現場において主力として現在も使わせていただいております。最初はキノコ菌糸体だったのですが、単純なキノコ菌糸体よりも「IL-12」を多く産生でき、また酵母と組み合わせるとより効果が高くなることも決め手でした。ホームページ(http://www.orientct.ne.jp/)にはいろいろな症例を載せていますので、ぜひご覧ください。

 「がんを治すのではなく患者様を治す」という思い


通常の標準治療では、「免疫の活性」を測定することはありません。抗がん剤治療をやり尽くして手立てがなくなった患者様に、「免疫の活性」を測定すると、底値とくっつくくらいまで免疫の活性数値が低下しています。私が治療時に考えていることは「がんで苦しんでいる目の前の患者様を、どうすれば幸せにできるか」という一点です。そうして考えた末に免疫療法を見出し、「がんを治すのではなく患者様を治す」ことに行きつきました。患者様の体がもともと備えている免疫力を活かすことができれば、最良の治療になるだろうと考えています。野田食菌工業のLEM やMAK は、「(がんが)再発して帰ってくる」患者様を少しでも減らすために、現在も使用しております。

 

      「余命宣告」に克つ (イースト・プレス刊)

 


 
 

 

人の健康は食生活と
LEMで万全に

 

高島澄夫先生
湯川胃腸病院副院長

 


 野口英世に憧れて医師に


小学校の頃、体が弱かったので、難病を研究している野口英世などの伝記を読んで、医学に興味を持ちました。また「食養と健康」についても関心があり、食事が健康にどう関与しているかを勉強しつつ、実際に取り組んでいきたいと思いました。そんな感じで医師になった私ですが、最初は放射線科で、データ分析などの業務に従事していました。その後、外来に勤めることになり、直に患者さんの顔を見て、状況を判断しながら診察することの大切さを学びました。治療に関しては、患者さんに無理のない治療ができるよう心がけています。病気を克服するために大切なのは、やはりその人が本来、体に備わっている〝力〞が大切だと思うからです。

LEMは「飲み続ける」ことが大切


もともと、母が食養生に関心が高く、その影響で食事に興味がありました。そして食事による病気の予防や治療について学んでいるうちに、食本来の成分の大切さなどを知り、やがてLEMの存在を知ることになりました。そして、LEMによるB型肝炎治療などの話を聞き、実際に臨床の現場で使うことにしたのです。C型肝炎以外にも、潰瘍性大腸炎でもLEMを使った治験を行いましたが、その有用性は高いのではないかと思っています。LEMは飲み続けることで、ゆっくりと効いていくと思っていましたが、患者で一人、劇的に肝臓の数値が改善された人がいました。その方はインターフェロンに反応しやすいタイプで、300前後くらいのマーカー数値が一気に下がったので驚きました。治験でLEMを飲んでもらっていた方の中では、今でも欠かさず飲み続けている方もいらっしゃいます。

人が自然に持っている「力」を引き出す


食品でも医療でも、急激な環境の変化はどこかで悪い影響を及ぼすのではないかと思っています。昨今の米アレルギーについても、昔と比べると品種改良などが盛んになってきて、米に何かひずみが起きているのではないでしょうか。人の体でも同じことで、体内環境が悪いと一向に病気が治らないことがあり、人が自然に持っている〝力〟をいかに引き出して、ケアしていくかが大切ではないかと感じています。


                           湯川胃腸病院の外観


 
 

 

B型慢性肝炎の治療に
LEMに驚きの効果が

 

天ヶ瀬洋正先生
天ヶ瀬クリニック院長

 


 漫画家になりたかった私が、石の道へ


私の父は産婦人科医でしたが、私が子どもの頃から「医師には絶対なるなよ」「医師は男が一生の仕事とするものではない」と言われていました。父は臨床医から佐賀県、福岡県の職員として行政官を勤め、その後、国立大学教授へと転身しました。じつは私は小学校時代、絵や漫画を描くのが好きで、中学時代は「将来、漫画家になりたい」と思っていました(父もけっこう乗り気でした)。高校に入ってからは美術を選択し、美術部にも入りました。大学は美術系に進学しようと思い、美術部の指導教諭にも勧められましたが、2年生になると担任に東大受験を勧められました。数学と英語が好きで成績も良かったので、ほかに東工大、一橋大、東京外大のいずれかに進学しようと勉強していました。ところが3年生の3学期になって担任の先生、校長先生の熱意のこもった説得で、九州大学医学部を受験する決意をしたのです。

 
「患者さんの表情や訴えの中に真実がある」


医師となったからには、勉強も大変でしたが一生懸命頑張ってきました。格言というほどのものではありませんが、私は、「患者さんの表情や訴えの中に真実がある」と思っています。なので、先入観を捨てて患者さんの話を傾聴し、表情や動作をよく観察して、計画立てて診断・治療をするようにしています。検査結果や治療方針に関しても、患者さんが十分納得できるように時間をかけて説明し、患者さんが不安な気持ちにならないようにすることを常に心がけています。

B型肝炎の治療で思い悩んだ日々、新薬の登場を期待


1983(昭和58)年頃、B型肝炎の治療で困っていたことがありました。いわゆる「肝庇護剤」と呼ばれるものはその頃もありましたが、それでは肝機能が少しずつ良くなっても、B型肝炎ウイルスはほとんど排除できません。インターフェロンや抗ウイルス薬・Ara-Aの治療が試みられましたが、期待されるほどの治療効果はなく、副作用が非常に強いという問題がありました。直接、B型肝炎ウイルスを排除できる薬物の登場を期待していました。

 
B型慢性肝炎の患者さんに、LEMが効いた


当時の上司であった宮川院長に呼ばれたことがあります。そこには台北帝大同窓生だという鈴木健三さん(野田食菌工業)がいて、富山医科大学・菅野延彦教授の実験による「L E Mの抗がん作用(肝臓がんの発育抑制作用)に関する論文」を紹介していました。それによれば、LEMの抗がん作用は免疫賦活から来るのではないかという説明でした。宮川院長に「このLEMを使ってB型慢性肝炎の患者さんを治療してみてはどうか」と言われたのですが、動物実験のデータだけを信頼してLEMを患者さんに投与した場合、有効性が実証されるかどうか、当然不安に思いました。しかし、すでに最初の段階での臨床試験により安全性は担保されていたので、十分な説明を行い、患者さんの同意を得た上でLEMを投与しました。当時、私は43歳でした。

 臨床データを発表し、LEMの治療を確信


最初のうちは半信半疑でLEMを投与していましたが、治療経過を見ているうちに、その効果に驚きました。その後、LEMの免疫賦活及び免疫調整作用については、大阪市立大学・溝口靖紘先生がインビトロの実験で証明されました。私は「LEMにはインターフェロン誘導作用もあるのでは?」と思い、東京大学の織田敏次先生のご紹介で国立予防研究所村山分室の河野晴也先生に、LEM投与を受けている患者さんの体の中のインターフェロン量測定の相談に行ったこともあります。その後、症例を増やしても治療の成績が変わらないことがわかり、臨床試験データを国内外の学会で発表しました。臨床試験に関しては東京大学グループ、大阪市立大学グループでも同様の傾向が確認され、消化器病学会総会や、医学雑誌『肝胆膵』で発表されました。そこで私はLEMによる治療を確信し、継続しようと思いました。